感覚型の経営スタイルとともに、ビームスの社長である設楽氏の舵取りにはもうひとつ大きな特徴がある。それは、絶対、大衆に飽きられてはいけない、という一種の恐怖観念だ。それはビームスがブランド化すること、結果、陳腐化することを回避しようとする動物の嗅覚にも似たバランス感覚と言い換えてもいい。「ある時期から、雑誌の人気ブランドランキングにビームスの名が挙がるようになりました。それまでは人気ショップのランキングには入っても、ブランドランキングに入ることはありませんでした。ショップであるビームスがブランド化するのは危ない。なぜならブランドには、ライフサイクルがある。ブランドになって、勢いのあるうちはいいが、このままではいずれ陳腐化して飽きられる。ブランドとしてのビームスブームが終わり、飽きて離れた客を呼び戻すほど難しいことはない。常に新鮮な旬のブランドを店で並べているのに、ビームスがブランド化してしまったのは、あまりにも規模が大きくなり、ビームスのイメージが固定化しつつあることをそれは示していました。たぶん、売り上げが100億を超えたあたり(92、93年頃)からだと思います。そのことがきっかけで、そろそろビームス単体では限界点に来つつあるなって考えるようになりました。ひとつの顔では、10O億が限界だと。これからはビームスという名で、いろいろな切り口の店を出していかないと、ビームスというブランドは、いくら良いモノをセレクトしても、作っても、やがて飽きられてしまうってね。そこで、はじめたのが雑貨であり、インテリアであり、飲食だったんです」